島田 佳憲(シマダ ヨシノリ)
人文社会科学研究科 経営学研究領域准教授
経済学部 経済学科

業績情報

■ 共同研究・競争的資金等の研究課題
  • 会計基準設定過程における企業の政治的活動および会計行動に関する実証的研究               
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 基盤研究(C), 2024年04月 - 2028年03月
    島田 佳憲, 埼玉大学
    配分額(総額):3900000, 配分額(直接経費):3000000, 配分額(間接経費):900000
    課題番号:24K05198
  • 企業と政治の関わりが財務報告に及ぼす影響とその経済的帰結に関する実証研究               
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 基盤研究(C), 2021年04月 - 2024年03月
    島田 佳憲, 埼玉大学
    配分額(総額):3640000, 配分額(直接経費):2800000, 配分額(間接経費):840000
    企業はレント・シーキング活動の一環として政治的つながりを構築することがある.こうしたレント・シーキング活動により収益が増加したり費用が減少したりするのであれば,財務報告にレント・シーキング活動の効果が発露する.そうした効果を期待して経営者は業績予想に政治的つながりの影響を織り込む可能性もある.くわえて,投資家などの利害関係者も,こうした効果を踏まえて,企業価値評価を実践する場合,さまざまな点で経済的帰結を観察することができ得る.本研究課題は,どのように企業の政治的つながりが財務報告およびその経済的帰結に影響するかの一端を明らかにしようとするものである.
    令和3年度には,レント・シーキング活動が企業情報開示(ディスクロージャー)に与える影響を解明するため,経営者業績予想値を分析対象の中心とした.令和4年度は,企業経営の実態への影響を明らかにするため,レント・シーキング活動と業績実績値との関係性を分析した.中央政府の政権交代を活用しつつ,差分の差分(difference-in-difference)アプローチによりレント_シーキング活動と売上高実績値との関連性を分析したところ,つぎのことが明らかになった.(1) 収益性が低い企業がレントを求めてレント・シーキング活動をおこなう傾向がある,(2) レント・シーキング活動の程度は売上高実績値とは無関係である,(3) レント・シーキング活動と企業価値のあいだには正の関連性が確認される.
    課題番号:21K01778
  • 投資に関する予想情報の質とコーポレート・ガバナンスの関連性に関する実証研究               
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 若手研究(B), 2016年04月 - 2022年03月
    島田 佳憲
    配分額(総額):3900000, 配分額(直接経費):3000000, 配分額(間接経費):900000
    本研究課題は,コーポレート・ガバナンスの視点から,経営者による投資に関する予想情報の経済的役割を解明しようとするものである.研究の成果として,つぎのことが明らかになった.まず,自発的に投資予想情報を開示している企業は,開示していない企業と比べて,より低いインプライド資本コストを享受することができる.つぎに,株式所有構造により経営者の規律づけが発揮される企業ほど,投資予想情報の正確度が高くなる.最後に,投資予想情報の質が高い企業では,より効率的な投資活動が実施されている.
    課題番号:16K17204
  • 投資予想情報の有用性に関する実証的研究               
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 研究活動スタート支援, 2014年08月 - 2016年03月
    島田 佳憲, 岩手大学
    配分額(総額):2340000, 配分額(直接経費):1800000, 配分額(間接経費):540000
    本研究では,将来投資の予想情報を研究対象とし,(1)投資予想情報の価値関連性,(2)投資予想情報の開示効果,そして(3)投資予想情報の質とその経済的帰結を実証的に分析した。
    分析の結果,つぎの発見事項が得られた。(1)投資予想情報の将来変動は株価にポジティブに影響し,投資予想情報は価値関連性を有する。(2)投資予想情報を開示している企業は,非開示企業と比べてより低い株主資本コストを享受できる。(3)将来投資の信頼性を向上させる属性をもつ企業ほど投資予想情報の価値関連性が高く,また投資予想情報の質と株主資本コストのネガティブな関係はコーポレート・ガバナンスが脆弱な傾向にある企業で確認される。
    課題番号:26885004
  • IFRS導入と会計利益の質に関する実証的研究               
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 特別研究員奨励費, 2012年04月 - 2014年03月
    島田 佳憲, 一橋大学
    配分額(総額):2200000, 配分額(直接経費):2200000
    本研究は, IFRSの特徴という分析視座から会計利益と企業行動を分析し, その経済的影響を究明することを通じて次世代における企業会計のあり方について検討することを目的とする。そのために平成25年度においては, つぎの研究活動を実施した。
    まず, 関連文献の収集と文献研究を行った。これは, IFRSが現在も設定段階にある会計基準であるために最新基準に基づく先行研究を掌握する必要があり, 新しい視点をもった研究が公表され続けていることを鑑みたものである。このような文献収集・渉猟を行うことにより, IFRSにおいて課題とされている諸問題を浮き彫りにし, 本研究を遂行するうえでの問題意識の明瞭化を図っている。
    こうした先行研究渉猟をもとに, 平成25年度は主としてIFRSでは条件付きで資産計上が容認されている研究開発費(R&D)に関して実証的分析を実施した。R&Dはその金額が多額であるのみならず, 企業の将来業績に関連するとともに資産計上・費用計上の面で会計の保守主義にも関連するという点で極めて重要な研究課題である。具体的な実証的分析の内容としては, (1)経営者が利益目標達成を行う強いインセンティブを有するときのR&Dによる利益調整行動とその資本市場における評価, また(2)R&D投資増大に関する情報と企業の将来業績および将来株式リターンの関連性の2点を分析している。分析の結果, 経営者は二期連続で利益目標未達を回避するためにR&D投資を減額する傾向があるが, 資本市場はそのような企業行動を看過したうえで投資判断を行っていること, またR&D投資増大に関する情報は企業の将来収益性の不確実性を増加させる一方で, 将来株式リターンとはマイナスに関連することが明らかとなっている。平成25年度の分析においてもR&D予想情報を利用していた点が独創的であり, 特徴を有している。
    課題番号:12J06029
  • 自己株式を利用した企業の資本政策および財務報告制度に関する理論的・実証的研究               
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 特別研究員奨励費, 2009年04月 - 2012年03月
    島田 佳憲, 神戸大学
    配分額(総額):1200000, 配分額(直接経費):1200000
    本年度の研究は,欧米諸国の資本市場は長期的に自社株買いの公表を好意的に評価している一方で,わが国の資本市場は長期的には自社株買い公表に好感しないことが先行研究において明らかにされているが,その原因については究明されてこなかったことに関して,新たな一定の科学的証拠を提示することを課題としている。とりわけ自社株買いに伴う経営者の利益数値制御とそれに対する資本市場の評価に焦点を当てて研究を実施した。ここではSloan(1996)によって示された会計発生高アノマリーの考え方を援用して,自己株式の取得における経営者の裁量的会計発生高の利用とそれに対する市場の評価を究明した。そして分析の結果から,会計発生高と資本市場の関係性に着目し,わが国における自社株買いに対する長期的なマイナスの評価の一因が自社株買い公表前の経営者の利益数値制御にあることを発見している。特に,自社株買い公表前に経営者が利益捻出を行っている場合に,資本市場はマイナスの評価を行っていることを報告している。このような検証結果は,健全な資本市場の構築に資するものである。
    さらに過年度においては経営者が自己株式の取得を公表ないし実施する動機として,経営者が自己株式が市場において割安に評価されていることを市場参加者へ伝達するシグナリング目的を中心に研究を行ってきたが,本年度においては他の経営者の自社株買い公表ならびに公表後の実施に関するインセンティブをより包括的に捉えて,どのような動機をもとにわが国経営者が自社株買いを行っているかを明らかにしている。
    以上の研究成果は博士論文の一部であり,現在,和文ならびに英文で論文を取り纏めており,査読付きの学術雑誌へ投稿予定である。これら成果は,会計やファイナンス研究のみならず,資本政策全般や財務情報適時開示のあり方をめぐる企業レポーティングにも資するものである。
    課題番号:09J04599
  • 自社株買いと会計情報               
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 研究成果公開促進費, 2012年
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